北京の上の彗星

高層ビルが林立する北京CBDは、かつて明成祖・朱棣が感嘆した定都峰と遠くから見つめ合う。長安街が両者を結び、現代と歴史の時空を超えた対話を架けている。古の万里の長城が蛇行し、星明りに照らされた荒涼たる壁は、王朝の興亡を物語る。北京の頂、東霊山は銀河の下で静かに横たわり、数えきれない変遷を見守ってきた。数万年の公転周期を持つ彗星 C/2023 A3 (Tsuchinshan-ATLAS) は、悠久の星の輝きを携えて北京をかすめ、世の中のあらゆる変遷を見守ってきた。